読書感想文を書こうとしたとき、「本に出てくるような体験をしたことがないけれど、何を書けばいいのかな」と感じることがあります。
物語の舞台が自分の暮らしとは大きく違っていたり、主人公が特別な出来事を経験していたりすると、自分のことと結びつけるのが難しく感じられるかもしれません。
でも、読書感想文を書くために、登場人物と同じ体験をしている必要はありません。
大切なのは、本を読んだあとに「私はこう思った」「自分だったらこう考える」と、自分なりの言葉で考えを広げていくことです。
体験そのものではなく、本を読んで生まれた自分の考えに目を向けると、書けることはぐっと見つけやすくなります。
この記事では、自分に似た体験が見つからないときに、本の内容と自分の考えをどのようにつなげればよいのかを、順番にやさしく紹介します。
読書感想文で自分の体験がなくても大丈夫

読書感想文は「同じ体験」を書くものではない
読書感想文では、本に出てきた出来事と自分の体験を結びつけて書く方法がよく紹介されています。
そのため、「主人公と同じような経験を探さなければならない」と思うこともあるでしょう。
けれども、読書感想文で大切なのは、登場人物と同じ出来事を経験したことではありません。
本を読んだ自分が何を感じ、何を考えたのかを言葉にすることが中心になります。
たとえば、主人公が知らない土地へ旅をする物語を読んだとします。
自分には同じような旅の経験がなくても、「知らない場所へ行くとしたら、どんなことを楽しみにするだろう」「主人公が最初にこの行動を選んだのはなぜだろう」と考えることはできます。
このような自分なりの疑問や想像したことも、読書感想文を作る大切な材料です。
本とまったく同じ経験を探すのではなく、「この場面を読んだ私はどう思ったのだろう」と考えるところから始めてみると、文章の方向が見えてきます。
自分の体験より「自分の考え」が大切
読書感想文に自分の体験を書くと、文章を広げやすくなることがあります。
ただし、体験談そのものが読書感想文の中心になるわけではありません。
大切にしたいのは、その本を読んだからこそ考えたことです。
たとえば、「主人公が友達のために行動する場面が印象に残った」とします。
同じような経験がなくても、「私ならすぐに行動できるだろうか」「どうして主人公は迷わず動けたのだろう」と考えれば、自分の意見を書けます。
さらに、「最初は主人公の行動が意外に思えたけれど、読み進めるうちに、その理由がわかってきた」と書けば、本を読んで考えがどのように広がったのかも伝えられます。
感じたこと、疑問に思ったこと、読んだあとに考えたこと。
こうしたものを少しずつ言葉にしていけば、体験談がなくても内容のある読書感想文を作れます。
経験がないこと自体を感想にしてもよい
自分の生活とは大きく違う世界を描いた本を読むこともあります。
そのようなときは、無理に自分との共通点を探さず、「自分がこれまで知らなかったこと」に注目する方法もあります。
たとえば、昔の時代を舞台にした物語なら、「今の生活とはこんなところが違うことを初めて知った」と書けます。
外国が舞台の物語なら、「登場人物の暮らし方が、自分の身近な生活とは違っていて興味深かった」と感じることもあるでしょう。
「経験したことがないからこそ気づいたこと」も立派な感想になります。
さらに、「もし自分がその場所にいたら、どんなことに驚くだろう」と考えれば、自然に自分の視点も加えられます。
読書には、自分がまだ知らない世界を知る楽しさもあります。
そのため、初めて知ったことや印象に残った違いを手がかりにしても、十分に自分らしい文章になります。
まずは本の中で気になった場面を見つけよう

心に残った場面を一つ選ぶ
読書感想文を書こうとして、本の最初から最後まですべてについて考えようとすると、何から書けばよいのか決めにくくなることがあります。
そこで、まずは心に残った場面を一つ選んでみましょう。
物語の大きな出来事でなくてもかまいません。
登場人物のちょっとした言葉、誰かと会話している場面、最後まで覚えていた風景など、自分が「ここが気になった」と思えるところなら材料になります。
感想文の入口は「なぜか覚えている場面」でも十分です。
たとえば、本を閉じたあとに最初に思い出した場面があれば、そこには自分の関心が向いていた理由があるかもしれません。
「この場面が一番好きだった」でもよいですし、「この言葉が印象に残った」でもよいでしょう。
一つの場面に絞ることで、その場面について感じたことや考えたことをじっくり広げやすくなります。
「なぜ気になったのか」を考えてみる
心に残った場面を選べたら、次は「どうしてここが気になったのだろう」と考えてみます。
最初から立派な言葉を考える必要はありません。
「おもしろかった」「意外だった」「すごいと思った」「続きが気になった」といった短い言葉から始めても大丈夫です。
そこから、「何がおもしろかったのか」「どこが意外だったのか」と、もう一度問いかけてみます。
たとえば、「主人公の行動が意外だった」と思ったなら、「自分が予想していた行動と違ったから」と理由を続けられます。
さらに、「私は別の行動をすると思っていた」と書けば、自然に自分の考えが加わります。
「なぜ?」を一つ加えるだけでも、短い感想を少しずつ深めることができます。
こうして理由をたどっていくと、自分だけの視点が見つけやすくなります。
登場人物の行動から考えを広げる
本の中で気になる場面が見つかったら、登場人物の行動にも注目してみましょう。
「なぜこの人はこんなことをしたのだろう」と考えると、感想を広げるきっかけになります。
物語の中には、自分なら思いつかない行動をする登場人物もいます。
そんなときこそ、「自分ならどうするだろう」と比べてみると、書けることが増えていきます。
登場人物の行動と自分の考えを比べると、本の内容と自分の意見をつなぎやすくなります。
たとえば、「主人公はすぐに声をかけたけれど、私はまず様子を見ると思う」と書けば、それだけでも一つの感想になります。
さらに、「なぜ私はそうすると思うのか」を加えれば、より読み応えのある文章になります。
登場人物の選択を見ながら、自分だったらどうするかを考える方法は、似た体験がない本でも使いやすい書き方です。
自分の体験がなくても本と自分をつなげる方法

「自分だったらどうする?」と置き換えてみる
本に出てくる出来事を経験したことがない場合は、「自分だったらどうするだろう」と考えてみるのがおすすめです。
実際に経験したことでなくても、自分をその場面に置き換えることで、自分らしい考えを出すことができます。
たとえば、主人公が大勢の前で何かを発表する物語なら、「もし自分だったら、最初にどんな準備をするだろう」と考えてみます。
冒険の物語なら、「自分なら何を持って出発したいだろう」と想像してもよいでしょう。
「もし自分なら」という視点は、体験がなくても使える便利な入口です。
ここで大切なのは、想像した内容だけで終わらず、その理由も少し書くことです。
「私はこうすると思う。なぜなら……」と続けることで、自分の考えがより伝わりやすくなります。
また、主人公と自分の答えが同じでなくてもかまいません。
違う考え方に気づくことも、本を読んだからこそ生まれる感想の一つです。
似た出来事ではなく「似た気持ち」を探してみる
本の出来事と同じ経験がなくても、登場人物が感じていることに目を向けると、自分の身近な出来事とつながる場合があります。
たとえば、主人公が大きな大会に参加する物語を読んだとします。
自分が同じ大会に出た経験はなくても、「何かを楽しみにしながら準備したこと」はあるかもしれません。
出来事がまったく同じでなくても、そこにある気持ちや考え方に似ている部分があれば、それを使って文章を広げられます。
出来事ではなく「気持ちの共通点」を探すのがポイントです。
「主人公のこの気持ちは、学校行事を楽しみにしていたときの自分と少し似ていると思った」のようにつなげると、本と自分の話が自然に続きます。
似ている部分だけでなく、違っている部分を見つけてもかまいません。
比較することで、「私はこう思う」という自分の考えが見つかりやすくなります。
学校や日常の出来事と比べて考える
自分の体験を書くというと、特別な出来事を探したくなるかもしれません。
しかし、読書感想文に使う体験は、毎日の小さな出来事でも十分です。
授業中に気づいたこと、友達と一緒に取り組んだこと、家族との会話、係や当番で経験したことなど、身近な出来事から共通点を探してみましょう。
たとえば、登場人物がみんなで一つのことを完成させる物語なら、学校行事やグループ活動を思い出すことができます。
本の中で誰かが新しいことに挑戦していたなら、自分が初めて何かをやってみた日のことにつなげてもよいでしょう。
日常の小さな出来事に目を向けると、意外なところで本との共通点が見つかります。
「同じ出来事」ではなく「どこか似ている出来事」を探すくらいに考えると、書く材料を見つけやすくなります。
そこから、「本の登場人物はこうしたけれど、自分のときはこうだった」と比べれば、文章にも自然な広がりが生まれます。
どうしても似た経験が見つからないときの考え方

「知らなかったこと」に注目する
本を読む楽しさの一つは、それまで知らなかったことに出会えることです。
似た経験が見つからないときは、「この本で初めて知ったことは何だろう」と考えてみましょう。
物語の時代、登場する仕事、土地の特徴、登場人物の暮らし方など、本の中にはさまざまな発見があります。
その中から一つ選び、「読む前は知らなかったけれど、この本を読んで初めて知った」と書けば、自分の感想につなげられます。
「初めて知ったこと」は、そのまま自分らしい感想のきっかけになります。
さらに、「もっと知りたいと思ったこと」や「印象に残った理由」を続けると、内容を広げられます。
新しく知ったこと、興味を持ったこと、もっと知りたいことという順番で考えるのもよい方法です。
体験を探すのではなく、本を読んだから生まれた新しい発見を中心にすると、自然な読書感想文になります。
登場人物との違いを書いてもよい
読書感想文では、本と自分の共通点ばかりを探す必要はありません。
登場人物と自分の考え方が違うと感じたところも、大切な材料になります。
たとえば、「主人公はすぐに決めたけれど、自分ならもう少し考えてから決めると思う」と感じることがあるでしょう。
その違いを書いたあとに、「なぜ自分はそう考えるのか」を説明すると、しっかりとした自分の意見になります。
「私は少し違うと思った」という気づきから始めてもよいのです。
また、読み進めていくうちに「最初は違うと思っていたけれど、主人公の理由を知って考え方がわかった」という展開になることもあります。
共通点だけでなく、違いも本と自分をつなぐ材料です。
登場人物と比べながら考えることで、自分が大切にしている考え方にも気づきやすくなります。
読んだ前と後で考えがどう変わったかを見る
本を読む前と読んだあとでは、同じことについて少し見方が変わることがあります。
その変化も、読書感想文ではとても使いやすい材料です。
たとえば、「最初は主人公の行動が不思議だったけれど、最後まで読んで理由がわかった」という変化があります。
また、「読む前はあまり知らなかったけれど、読んだあとにはもっと調べてみたいと思った」という変化もあるでしょう。
「読む前」と「読んだ後」を比べると、自分の考えの変化が見えやすくなるのがポイントです。
文章にするときは、「読む前は~と思っていました。けれど、この場面を読んで~と考えるようになりました」という形が使えます。
考えの変化や新しく気づいたことを中心にすると、体験談がなくても内容をしっかり広げられます。
本を読むことで自分の見方がどのように変わったのかをたどると、感想文全体にもまとまりが生まれます。
本の内容と自分の考えを文章につなげるコツ

「本では~。私は~。」の形から始めてみる
考えたいことが見つかっても、それをどのように文章につなげればよいのか迷うことがあります。
そんなときは、まず「本では~でした。私は~と思いました」という形で書いてみるとわかりやすくなります。
たとえば、「本では、主人公が一人で新しい場所へ向かいました。私は、その行動力が印象に残りました」という形です。
ここから、「なぜなら、自分だったら最初に周りの人と相談すると思うからです」と続ければ、自分の考えが加わります。
「本の内容」と「自分の考え」を交互に書くと、読書感想文らしい流れを作りやすくなります。
本の説明だけが長くなりそうなときは、「私は」「自分なら」という言葉を入れてみましょう。
本の場面を書いたあとに自分の考えを書く。
この基本を意識するだけでも、内容のバランスが取りやすくなります。
「なぜなら」で理由を付け加える
「おもしろかった」「印象に残った」「すごいと思った」という感想が見つかったら、そのあとに理由を加えてみましょう。
使いやすい言葉が「なぜなら」です。
たとえば、「私はこの場面が一番印象に残りました。なぜなら、主人公が最初とは違う考え方をしていたからです」と続けます。
さらに、「どの部分が違っていたのか」を書けば、もう一段文章を広げることができます。
感想と理由をセットにすると、自分が何を考えたのかが伝わりやすくなります。
「なぜなら」だけでなく、「その理由は」「私がそう思ったのは」といった表現に置き換えてもよいでしょう。
感想のあとに「どうして?」と自分に問いかけることが、文章を深めるコツです。
理由が一つ見つかったら、そこからさらに「そのとき自分ならどうするか」と考えることで、自分らしい内容に発展させられます。
「もし自分なら」を使って考えを深める
実際の体験がなくても使いやすい表現が、「もし自分なら」です。
たとえば、「もし自分が主人公と同じ場所にいたら、まず周りをよく見てから行動すると思います」と書けます。
そこから、「主人公はすぐに行動していたので、自分との違いが印象に残りました」とつなげれば、本との比較もできます。
この方法なら、自分が経験したことのない出来事についても、自分の視点から考えることができます。
想像したことにも「なぜそうすると思うのか」を加えると、内容がさらに充実します。
「もし自分なら」という言葉は、物語の場面だけでなく、説明文や伝記などでも活用できます。
「もし自分がこの時代にいたら」「もし自分がこの仕事をするとしたら」など、さまざまな形で考えられます。
想像することと理由を考えることを組み合わせれば、体験談に頼らず、自分の考えをしっかり表現できます。
無理に体験談を作らず自分らしい読書感想文にしよう

大きな経験を書こうとしなくてよい
読書感想文を書くために、特別な出来事を探す必要はありません。
本の主人公が大きな冒険をしていたとしても、自分も同じような経験を用意する必要はないのです。
日常の小さな出来事や、普段何気なく考えていることでも、本との共通点が見つかれば十分に使えます。
たとえば、主人公が仲間と協力する物語なら、学校のグループ活動について思い出してみることができます。
主人公が新しい場所へ行く話なら、自分が初めて訪れた場所のことを思い出してもよいでしょう。
読書感想文では、体験の大きさよりも「その体験から何を考えたか」が大切です。
身近な出来事や小さな気づきほど、自分の言葉で書きやすいこともあります。
「こんな出来事でもいいのかな」と考えすぎず、本とのつながりが少しでも見つかったら、まず書き出してみるとよいでしょう。
本を読んで考えたことを素直に書く
読書感想文では、「どんな感想を書けばよいのだろう」と考えることがあります。
ですが、本を読んだ人によって心に残るところは違います。
同じ本を読んでも、主人公の行動が印象に残る人もいれば、景色の描写や登場人物の言葉が心に残る人もいます。
その違いこそが、読書感想文の個性になります。
自分が最初に感じたことを大切にして、そこから「なぜそう思ったのか」を考えてみましょう。
「この場面が好き」「この言葉が気になった」「この考え方がおもしろいと思った」といった小さな感想からでも、文章は十分に広げられます。
「自分が本当に気になったところ」から書くと、自然な言葉を選びやすくなります。
さらに、本を読む前の考えや読んだあとの気づきを加えることで、自分だけの読書感想文に仕上げることができます。
最後はこれからの自分につなげる
読書感想文の最後では、本を読んで考えたことを、これからの自分につなげると締めくくりやすくなります。
たとえば、「次に同じような場面があったら、主人公のように考えてみたい」「これからは別の見方もしてみたい」といった形です。
必ず何か大きな目標を書く必要はありません。
「ほかの本でも同じテーマについて読んでみたい」「登場人物とは違う考え方についても知りたい」といった、本を読んだから生まれた関心を書いてもよいでしょう。
最後は「この本を読んだあと、自分はどう考えるようになったか」を振り返ると、自然に結びやすくなります。
これから考えてみたいことや新しく興味を持ったことを一つ選ぶだけでも十分です。
読書感想文の最初から最後までを、「本を読む前の自分」「本を読んで感じたこと」「読んだあとの自分」という流れでつなげると、まとまりのある文章になります。
読書感想文で自分の体験がないときのよくある質問

自分の体験を書かなくても読書感想文になりますか?
はい。
自分の体験を書かなくても、読書感想文を作ることはできます。
読書感想文では、本を読んでどんなことを感じたのか、どんなことを考えたのかを書くことが大切です。
登場人物について考えたり、「自分だったらどうするか」と想像したりするだけでも、自分の考えを表すことができます。
体験談は読書感想文を書くための方法の一つと考えておくとよいでしょう。
似た経験がなければ、初めて知ったことや、登場人物との考え方の違いなどを中心に書く方法もあります。
本と関係のない体験を書いても大丈夫ですか?
体験を書く場合は、本の内容と何らかのつながりが見えるようにすると読みやすくなります。
まったく同じ出来事である必要はありません。
「本の登場人物と同じようなことを考えた経験」「似た気持ちになった出来事」など、少し共通するところがあれば十分です。
本の場面→自分の体験→そこから考えたことという順番にすると、話題が自然につながります。
体験を書くことより、本との関係を説明することを意識すると、読書感想文らしい文章になります。
「自分だったら」と想像して書いてもよいですか?
実際に経験していない場面でも、「自分だったらどうするだろう」と考えることで、自分の意見を書くことができます。
特に、物語の舞台や登場人物の生活が自分とは大きく違うときに使いやすい方法です。
「もし自分だったら~すると思う」と書いたあとに、「なぜなら~だから」と理由を続けてみましょう。
想像したこととその理由を組み合わせることで、内容をしっかり広げられます。
経験がなくても、自分の立場に置き換えて考えることはできます。
登場人物の考え方と比べながら書くのもおすすめです。
体験より本の内容が多くなっても大丈夫ですか?
本の内容を書くこと自体は、読書感想文をわかりやすくするために役立ちます。
ただし、本の出来事を説明したあとには、「私はどう感じたか」「なぜその場面を選んだのか」も加えてみましょう。
本の内容を書いたら、そのあとに自分の言葉を一つ加えるイメージです。
たとえば、「主人公はこのように行動しました。その場面を読んで、私は~と思いました」と続けるだけでも、自分の感想につなげられます。
本の説明と自分の考えをセットにすることを意識すると、内容のバランスを取りやすくなります。
自分の体験がなくても、感じたこと、考えたこと、想像したことを加えていけば、自分らしい読書感想文に仕上げられます。
